2023年度に利用が増えた区間・減った区間

新型コロナウイルス感染症の流行で大きく減った鉄道の利用は、その後どれくらい戻っているのでしょうか。この記事では、JR 各社が区間ごとに公表している輸送密度(路線の 1 km ごとに、1 日あたり平均何人の乗客が通ったか)を、2022 年度と 2023 年度で比べました。

比べたのは、JR 各社の資料に両方の年度の値が載っている 333 区間です。2023 年度に代行輸送をしていた区間は、列車の利用として比べられないため除いています。

9 割の区間で増えた

333 区間のうち、輸送密度が前年度より増えたのは 306 区間(92%)、減ったのは 26 区間でした。変化の中央値は +6.9% です。

前年度(2022年度)からの輸送密度の変化ごとの区間の数
変化区間の数
20% 以上減1
0〜20% 減25
0〜10% 増201
10〜20% 増65
20〜30% 増24
30% 以上増17
20% 以上減10〜20% 減250〜10% 増20110〜20% 増6520〜30% 増2430% 以上増17
前年度からの輸送密度の変化ごとの区間の数
会社ごとの変化
会社比べられる区間増えた区間変化の中央値
JR北海道2219+15.8%
JR東日本199185+7.1%
JR西日本112102+5.5%

新幹線の区間(変化の中央値 +25.9%)は、在来線(同 +6.4%)より大きく伸びていました。出張や旅行などの長い距離の移動が、2023 年度に大きく戻ったことがうかがえます。

大きく増えた区間

いちばん伸びたのは関西空港線(日根野~関西空港)で、+74.4% でした。2 位の成田線(成田~成田空港)とあわせて、空港へ向かう区間が上位を占めています。海外との行き来が、2023 年度に回復したことの表れと考えられます。

そのほか、北海道新幹線や、東北新幹線の盛岡より北の区間、根室線など、北海道・東北の長い距離を走る区間も大きく伸びています。

一方で、五能線(能代~深浦)や磐越西線(野沢~津川)のように、もともとの利用が 1 日 100〜200 人ほどの区間は、数十人の増加でも大きな割合になります。割合だけでなく、人数の変化もあわせて見ることが大切です。

減った区間

減った割合がいちばん大きかったのは山陰線(城崎温泉~浜坂)で、-20.4% でした。

減った区間は、山陰線(城崎温泉~浜坂)や姫新線、越美北線など、もともと利用の少ない地方の区間が中心でした。利用が全体として戻るなかでも、地方のローカル線では減少が続いている区間があります。

なお、美祢線(厚狭~長門市)と山陰線(長門市~小串)は、輸送密度の値では前年度よりそれぞれ約 2 割・約 2.5 割減っていますが、この比較には含めていません。JR 西日本は 2023 年 9 月の発表で、2023 年 6 月 30 日からの大雨でこの 2 区間の鉄道施設に大規模な被災があり、運転を見合わせて代行バスを運転していると説明しています。年度の途中から列車が走れなくなったため、ほかの区間と同じ条件では比べられないからです。

数字を読むときの注意

  • 2022 年度と 2023 年度の 2 年分だけの比較です。新型コロナウイルス感染症の流行の前(2019 年度ごろ)の水準まで戻ったかどうかは、この比較からは分かりません。
  • JR 東海は、区間別の輸送密度を公表した資料が見つけられなかったため含めていません。JR 四国は 2023 年度から線区への配分の方法を変えたため前年度の値と比べられず、JR 九州は今回使った資料に前年度の値がないため、どちらも含めていません。
  • もともとの利用が少ない区間は、わずかな人数の変化でも、割合が大きく動きます。

各区間の 2 年度分の輸送密度は、Rail Density Explorer の各区間のページで見られます。

出典

関連するツール

ほかの記事