JR北海道の線区別の収支(宗谷線・石北線・根室線などの営業係数)

「宗谷本線 営業係数」「石北線 赤字」のように、北海道の路線の収支を調べる人は少なくありません。JR 北海道は、線区ごとの収支(営業収益・営業費用・営業損益)を毎年公表しています。この記事では、2023 年度の公表値を使って、線区ごとの営業係数を比べました。

営業係数は、100 円の収入を得るのにいくらの費用がかかったかを表す値で、100 を超えると赤字です。

線区ごとの収支

JR北海道の線区別の収支(2023年度、JR北海道の公表値。営業係数の高い順)
線区営業キロ輸送密度(人/日)営業収益(百万円)営業費用(百万円)営業損益(百万円)営業係数注記
留萌線(深川~石狩沼田)14.415912279-2672,390—
根室線(富良野~新得)81.78041738-6971,784代行輸送あり
日高線(苫小牧~鵡川)30.539038454-4161,210—
室蘭線(沼ノ端~岩見沢)67.03251001,191-1,0901,189—
根室線(滝川~富良野)54.63841371,263-1,125921—
宗谷線(名寄~稚内)183.22523523,175-2,823903—
根室線(釧路~根室)135.42211751,478-1,302843—
宗谷線(旭川~名寄)76.21,1205583,922-3,365703—
函館線(長万部~小樽)140.25694633,089-2,626667—
釧網線(東釧路~網走)166.23563272,110-1,783645—
石北線(上川~網走)189.16087434,582-3,839617—
石北線(新旭川~上川)44.97912371,395-1,158589—
富良野線(富良野~旭川)54.81,2333671,674-1,308457—
根室線(帯広~釧路)128.31,2371,3345,613-4,280421—
函館線(函館~長万部)147.62,9853,97210,631-6,659268—
北海道新幹線(新青森~新函館北斗)148.84,3919,10520,800-11,695228—
石勝線・根室線(南千歳~帯広)176.22,7884,5818,653-4,072189—
室蘭線(室蘭~苫小牧)65.05,7433,1345,767-2,633184—
室蘭線(長万部~東室蘭)77.23,9272,5594,592-2,033179—
函館線(岩見沢~旭川)96.26,7844,8388,542-3,704177—

公表されている 20 線区は、すべてが赤字でした。営業係数がいちばん高いのは留萌線(深川~石狩沼田)の 2,390 で、100 円の収入を得るのに約 2,390 円の費用がかかっています。営業係数が 1,000 を超える線区は 4 線区ありました。

いちばん低い函館線(岩見沢~旭川)でも 177 です。つまり、この表のどの線区でも、運賃などの収入は費用の 6 割以下しかありません。

なお、札幌の周辺の 函館線(札幌~岩見沢)・函館線(小樽~札幌)・千歳線・室蘭線(白石~苫小牧)・札沼線(桑園~医療大学)は、4 線区を合わせた値だけが公表されています。合計で営業収益 42,365 百万円、営業費用 45,365 百万円、営業損益は △3,000 百万円で、営業係数は約 107 です。札幌の周辺でも、わずかに赤字です。

赤字の大きさ

上の 20 線区を合わせると、営業収益は 33,073 百万円、営業費用は 89,948 百万円で、赤字は 56,875 百万円(約 569 億円)にのぼります。札幌の周辺の 4 線区を加えると、赤字は約 599 億円、営業係数は約 179 です。

赤字の額がいちばん大きいのは北海道新幹線(新青森~新函館北斗)で、11,695 百万円でした。北海道新幹線は営業収益も大きい一方で、新幹線の設備を維持する費用がかかるため、赤字の額では最大になっています。

輸送密度と営業係数

1001,00010,0001001,00010,000留萌線(深川~石狩沼田)日高線(苫小牧~鵡川)室蘭線(沼ノ端~岩見沢)根室線(滝川~富良野)宗谷線(名寄~稚内)根室線(釧路~根室)宗谷線(旭川~名寄)函館線(長万部~小樽)釧網線(東釧路~網走)石北線(上川~網走)石北線(新旭川~上川)富良野線(富良野~旭川)根室線(帯広~釧路)函館線(函館~長万部)北海道新幹線(新青森~新函館北斗)石勝線・根室線(南千歳~帯広)室蘭線(室蘭~苫小牧)室蘭線(長万部~東室蘭)函館線(岩見沢~旭川)輸送密度(人/日)営業係数
輸送密度と営業係数(両対数。代行輸送の区間を除く)

横軸が輸送密度、縦軸が営業係数です(どちらも 10 倍ごとに等しい間隔の目盛り)。点はきれいに右下がりに並んでいて、輸送密度が低い線区ほど営業係数が高くなっています。両者の対数の相関係数は -0.95 で、非常に強い関係です。

鉄道は、乗客が少なくても、線路・橋・トンネル・信号を保守し、冬は除雪をしなければなりません。費用の多くは乗客の数にかかわらずかかるため、乗客が少ない線区ほど、100 円の収入あたりの費用が大きくなると考えられます。宗谷線(名寄~稚内、営業係数 903)のように距離の長い線区では、その負担がとくに大きくなります。

数字を読むときの注意

  • 営業費用は、JR 北海道が一定の前提をおいて線区ごとに配分した値です。ほかの JR 各社の線区別の収支とは、配分の方法が違います。
  • 根室線(富良野~新得)は、一部の区間でバスによる代行輸送を続けていて、列車の利用として比べられないため、散布図から除いています。
  • 線区別の収支は、国の補助金や、北海道新幹線の線路の使用料などの扱いによって見え方が変わります。

JR 北海道の各線区の輸送密度・設備は、Rail Density Explorer の「北海道旅客鉄道」のページと各線区のページで見られます。

出典

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