コッホ雪片は何回くり返すと、周りの長さが地球一周を超えるか
公開日 ・フラクタルと数学
コッホ雪片は、正三角形から始めて、次の操作をくり返してできる図形です。
- それぞれの辺を 3 等分する。
- 真ん中の 3 分の 1 を、外側に向けた小さな正三角形の 2 辺に置き換える。
くり返すたびに、辺はぎざぎざになり、雪の結晶のような形になっていきます。

周りの長さは、くり返すたびに 4/3 倍
1 回の操作で、1 本の辺は長さが 3 分の 1 の辺 4 本に置き換わります。長さは「3 分の 1 × 4 本」で、もとの 4/3 倍です。くり返すたびに周りの長さは 4/3 倍ずつ伸びていきます。
最初の正三角形の 1 辺を 10 cm(周りの長さ 30.0 cm)として計算しました。
| 回数 | 辺の数 | 1 辺の長さ | 周りの長さ | 面積(最初の三角形の何倍か) |
|---|---|---|---|---|
| 0 回 | 3 | 10.0 cm | 30.0 cm | 1.0000 |
| 1 回 | 12 | 3.3 cm | 40.0 cm | 1.3333 |
| 2 回 | 48 | 1.1 cm | 53.3 cm | 1.4815 |
| 3 回 | 192 | 3.70 mm | 71.1 cm | 1.5473 |
| 4 回 | 768 | 1.23 mm | 94.8 cm | 1.5766 |
| 5 回 | 3,072 | 411.52 µm | 1.3 m | 1.5896 |
| 10 回 | 約 3.1×10⁶ | 1.69 µm | 5.3 m | 1.5998 |
| 20 回 | 約 3.3×10¹² | 約 2.9×10⁻¹¹ m | 94.6 m | 1.6000 |
| 29 回 | 約 8.6×10¹⁷ | 約 1.5×10⁻¹⁵ m | 1.3 km | 1.6000 |
| 66 回 | 約 1.6×10⁴⁰ | 約 3.2×10⁻³³ m | 52,854 km | 1.6000 |
10 回くり返すと周りの長さは 5.3 m、20 回で 94.6 m になります。机の上に置けるくらいの図形なのに、周りの長さは建物の高さほどです。
そして 66 回目で、周りの長さは約 52,854 km になり、地球の赤道の長さ(約 40,075 km)を超えます。このとき 1 本の辺の長さは 約 3.2×10⁻³³ m で、辺の数は 約 1.6×10⁴⁰ 本です。
もちろん、紙やディスプレイの上に描けるのはせいぜい数回までです。1 辺の長さは 5 回目で 1 mm を、11 回目で 1 µm(1000 分の 1 mm)を下回ります。計算の上では、その先もどこまでもくり返せます。
面積は 1.6 倍で止まる
周りの長さはいくらでも伸びるのに、面積はほとんど増えません。表のいちばん右の列のとおり、5 回で最初の三角形の 1.590 倍、10 回で 1.5998 倍になり、それ以上はほとんど変わりません。
1 回の操作で付け足す小さな三角形の数は 4 倍に増えますが、1 つの面積は 9 分の 1 になります。付け足す面積は毎回 4/9 倍ずつ小さくなっていくので、合計はある値に近づいていきます。計算すると、その値は最初の三角形の 1.6 倍(8/5 倍)です。
コッホ雪片は、どれだけくり返しても、最初の三角形を囲む円の中に収まっています。限られた広さの中に、いくらでも長い線が入っているのです。
長さが決まらない図形の「次元」
コッホ雪片の縁(コッホ曲線)のように、細かく見るほど長さが伸びていく線には、決まった長さがありません。そこで、長さの代わりにフラクタル次元という数で、どれくらい入り組んでいるかを表します。
コッホ曲線は、全体を 3 分の 1 に縮めたコピー 4 つでできています。このような図形の次元は「log 4 ÷ log 3」で、IFS Fractal Studio のシミュレーターと同じ計算で求めると 1.2619 です。1(ふつうの線)より大きく、2(面)より小さい値です。
海岸線のように、自然の中の入り組んだ線も、同じように物差しの長さで長さが変わり、フラクタル次元で表せます。合成した海岸線で確かめた結果は「海岸線の長さは、物差しの長さで変わるのか」にまとめています。コッホ曲線の作り方と変換式は、IFS Fractal Studio の「コッホ曲線」のページで、実際に描いて確かめられます。
出典
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