パスカルの三角形を奇数と偶数で塗り分けると、シェルピンスキーのギャスケットが現れる

パスカルの三角形は、いちばん上に 1 を置き、その下の段には「左上と右上の数を足した数」を並べていく三角形です。両端はいつも 1 になります。

        1
       1 1
      1 2 1
     1 3 3 1
    1 4 6 4 1
  1 5 10 10 5 1

この三角形で、奇数のマスを黒、偶数のマスを白に塗ってみます。すると、思いがけない模様が現れます。

64 段を塗り分けた

パスカルの三角形の 64 段を、奇数を黒、偶数を白で塗ったもの

大きな三角形の中に、白い逆三角形の穴が空き、残った 3 つの三角形の中にもまた穴が空いています。IFS Fractal Studio の図鑑にもあるシェルピンスキーのギャスケットと同じ形です。

段数を増やして 256 段にしても、同じ模様がより細かく続きます。

256 段を塗り分けたもの

なぜこの形になるのか

奇数・偶数だけに注目すると、足し算は次のようになります。

  • 奇数 + 奇数 = 偶数
  • 奇数 + 偶数 = 奇数
  • 偶数 + 偶数 = 偶数

つまり「上の 2 つのうち、ちょうど片方だけが奇数なら奇数」という規則で、段が下に伸びていきます。この規則だと、2 段、4 段、8 段…と 2 倍ごとに、上の三角形の模様が下の段の左右に 2 つ写し取られ、その間の逆三角形はすべて偶数になります。大きな三角形を「上・左下・右下の 3 つの縮小コピー」で作るギャスケットと、同じ作り方になっているのです。

奇数はどれくらいあるか

0 段目から順に数えて、奇数のマスがいくつあるかを数えました。

0 段目から 2ⁿ − 1 段目までに含まれる数のうち、奇数の個数
段数数の個数奇数の個数奇数の割合
2 段33100.0%
4 段10990.0%
8 段362775.0%
16 段1368159.6%
32 段52824346.0%
64 段2,08072935.0%
256 段32,8966,56119.9%
1,024 段524,80059,04911.3%

奇数の個数は 3、9、27、81…と、段数が 2 倍になるたびにちょうど 3 倍になっています。一方、マスの数は段数が 2 倍になるとおよそ 4 倍になるので、奇数の割合はどんどん減ります。1,024 段では、524,800 個の数のうち奇数は 59,049 個で、約 11.3% しかありません。段数を増やし続けると、割合は 0 に近づいていきます。

これは、ギャスケットの面積が 0 になることと同じです。

次元は log 3 ÷ log 2

「大きさを 2 倍にすると、中身が 3 倍になる」図形の次元は「log 3 ÷ log 2」です。IFS Fractal Studio のシミュレーターと同じ計算で、ギャスケットの次元を求めると 1.5850 になります。パスカルの三角形の奇数の数え方と、ちょうど対応しています。

1 段ごとの奇数の個数

1 つの段に奇数がいくつあるかにも、きれいな規則があります。k 段目の奇数の個数は、k を 2 進数で書いたときの 1 の個数を n として、2ⁿ 個です。

  • 10 段目:10 は 2 進数で 1010、1 が 2 つあるので奇数は 4 個(1, 10, 45, 120, 210, 252, … のうち 1, 45, 45, 1)。
  • 15 段目:15 は 1111、1 が 4 つあるので 16 個(すべての数が奇数)。
  • 16 段目:16 は 10000、1 が 1 つなので 2 個(両端の 1 だけ)。

この規則が 0 段目から 1,024 段目まですべてで成り立つことを、計算で確かめました。

3 で割った余りで塗ると

偶数・奇数は「2 で割った余り」です。3 で割った余りで、3 で割り切れるマスを白、それ以外を黒に塗ると、別の模様が現れます。

81 段を、3 で割り切れる数を白、それ以外を黒で塗ったもの

今度は、三角形が 6 つの縮小コピーと 3 つの逆三角形の穴に分かれる形になりました。81 段では、3,321 個の数のうち、3 で割り切れない数は 1,296 個(6 の 4 乗)です。大きさを 3 倍にすると中身が 6 倍になるので、この模様の次元は log 6 ÷ log 3 = 約 1.6309 です。

ギャスケットの作り方や変換式は、IFS Fractal Studio の「シェルピンスキーのギャスケット」で、点を打ちながら描いて確かめられます。次元の求め方は「フラクタル次元の求め方」で説明しています。

出典

関連するツール

ほかの記事