スマホで書類を撮ると、スキャナーの何 dpi 相当になるか

書類を送ったり保存したりするとき、スキャナーの代わりにスマートフォンのカメラで撮ることがよくあります。では、スマートフォンで撮った書類は、スキャナーでいうと何 dpi くらいの細かさなのでしょうか。

dpi(ドット・パー・インチ)は、1 インチ(25.4 mm)の長さを何個の点(画素)で表すかを示す数で、スキャナーの細かさの目安に使われます。

計算の条件

  • 用紙は A4(210 × 297 mm)。
  • スマートフォンを縦に持ち、4:3 の写真(縦長)で撮る。
  • 用紙がちょうど収まるように、周りに 1 割ほどの余白を残す。
  • センサーは 1/1.3型(ハイエンドのスマートフォンの主カメラに多い大きさ)。

A4 は 4:3 の写真より縦長なので、用紙の縦の長さで写る範囲が決まります。

スマホで撮った書類の dpi

A4 を縦に、周りに1 割の余白を残して撮ったとき(センサー 1/1.3型、4:3 の写真)
画素数写真の大きさ用紙の解像度10.5 ポイントの文字の高さ
1,200万画素3,000×4,000約 311 dpi約 45 画素
4,800万画素6,000×8,000約 622 dpi約 91 画素

1,200万画素の写真では、用紙は 約 311 dpi で写ります。スキャナーの 300 dpi と同じくらいの細かさです。4,800万画素で保存できれば約 622 dpi になります。

ふだん読む書類の文字(10.5 ポイント、文字の枠の高さ約 3.7 mm)は、1,200万画素で約 45 画素の高さで写ります。

解像度ごとの、10.5 ポイントの文字の高さ(文字の枠の高さ 3.7mm)
解像度文字の高さ
200 dpi約 29 画素
300 dpi約 44 画素
600 dpi約 87 画素

300 dpi のスキャンで文字の高さは約 44 画素なので、スマートフォンで用紙いっぱいに撮れば、数字の上ではスキャナーとほぼ同じ細かさです。

数字どおりにならない理由

ただし、実際にはスキャナーほどきれいに写らないことが多くあります。

  • 4,800万画素でも 1,200万画素で保存されることがある:4,800万画素のセンサーには、隣り合う 4 つの画素をまとめて 1,200万画素の写真として保存するもの(クアッドベイヤー)があります。機種によっては、設定を変えないと 4,800万画素で保存されません。
  • レンズのボケや手ぶれ:画素の数だけ細かく写るとは限りません。特に写真の四隅は、中央より甘くなりがちです。
  • 斜めから撮ると台形にゆがむ:用紙に対してカメラが傾いていると、奥の方が小さく写り、その部分の dpi は下がります。
  • 照明のむら:近づいて撮ると、スマートフォン自身の影が用紙に落ちやすくなります。

撮るときの距離

A4 がちょうど入る(余白 1 割)ときの、レンズから用紙までの距離
カメラ距離
1 倍(換算 24mm)23 cm
2 倍(換算 48mm)45 cm

A4 を余白 1 割で撮るには、1 倍のカメラなら用紙から約 23 cm、2 倍なら約 45 cm 離れます。

2 倍のカメラで少し離れて撮ると、スマートフォンの影が用紙に落ちにくく、用紙の端と中央の距離の差も小さくなるので、ゆがみが目立ちにくくなります。2 倍が光学ズームでない機種では、画素数が減るので、1 倍で撮るほうが細かく写ります。

書類を撮るときのコツ

  • 用紙の真上から、なるべく平行に構える。
  • 明るい場所で、影が落ちないように撮る。
  • 用紙が写真いっぱいになるように近づく。余白が大きいほど、dpi は下がります。
  • 細かい文字の書類は、2 回に分けて半分ずつ撮ると、dpi を約 2 倍にできます。

撮った書類を人に送るときは、写真に写り込んだ住所や名前などの個人情報にも注意してください。必要なところだけを残して隠す方法は、Web Mask Studio の解説で紹介しています。

画素の細かさの考え方は、FOV Studio の「空間分解能(GSD)と必要画素数の考え方」でも説明しています。写したいものの大きさと必要な細かさから、カメラと距離を決める手順は「マシンビジョン・外観検査のレンズ選定手順」が参考になります。

出典

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