星を点のまま撮れるシャッター時間は何秒か

星空の写真は、暗い星の光を集めるために、シャッターを何秒も開けて撮ります。ところが、地球は自転しているので、その間にも星は少しずつ動いて見えます。シャッターを長く開けすぎると、星は点ではなく短い線になって写ります。

星を点のまま写せるのは、何秒くらいまでなのでしょうか。

星はどれくらいの速さで動くか

地球が恒星に対して 1 回転する時間は、NASA の資料で 23.9345 時間です。星はこの時間で空を 1 周するので、1 秒に約 15.04 秒角(1 分間に約 0.25 度)動いて見えます。

これは、天の赤道(地球の赤道を空に延ばした線)の近くにある星の速さです。天の北極に近い星ほど、小さな円を描くのでゆっくり動きます。

1 画素動くまでの時間

写真の中で星がどれだけ動くかは、焦点距離で決まります。望遠になるほど、同じ角度の動きが大きく写ります。それが何画素分になるかは、センサーの 1 画素の大きさで決まります。

ここでは、星が写真の中で 1 画素動くまでを「点のまま写る」時間としました。天の赤道付近の星を、画面の中央に写すとして計算しています。

天の赤道付近の星が、写真の中で 1 画素動くまでの時間(括弧内は 2 画素)
カメラ換算 14mm換算 24mm換算 50mm
フルサイズ・約2400万画素(1 画素 6.0 µm)5.9 秒(12 秒)3.4 秒(6.9 秒)1.6 秒(3.3 秒)
フルサイズ・約4500万画素(1 画素 4.4 µm)4.3 秒(8.6 秒)2.5 秒(5.0 秒)1.2 秒(2.4 秒)
APS-C・約2400万画素(1 画素 3.9 µm)5.9 秒(12 秒)3.4 秒(6.9 秒)1.6 秒(3.3 秒)
1/1.3型(スマホ)・約1200万画素(1 画素 2.4 µm)8.5 秒(17 秒)4.9 秒(9.9 秒)2.4 秒(4.7 秒)
参考:500 ÷ 換算焦点距離36 秒21 秒10 秒

フルサイズ・約2400万画素のカメラ(1 画素 6.0 µm)で換算 24mm のレンズを使うと、1 画素動くまでは約 3.4 秒、2 画素なら約 6.9 秒 です。

画素の細かいカメラほど、時間は短くなります。同じフルサイズでも約4500万画素(1 画素 4.4 µm)なら約 2.5 秒 です。

「500 ÷ 焦点距離」の目安との違い

星を点で写すシャッター時間の目安として、「500 ÷ 35mm判換算の焦点距離(秒)」がよく紹介されます。換算 24mm なら約 21 秒、換算 14mm なら約 36 秒 です。

この目安と比べると、1 画素で計算した時間は数分の 1 しかありません。換算 24mm では、目安の 21 秒 に対して、フルサイズ・約2400万画素で約 3.4 秒 です。

目安どおりに撮ると、星は数画素分の短い線になります。写真を縮小して見る分には点に見えますが、画面いっぱいに拡大すると線になっているのが分かります。どこまでを「点」とみなすかは、写真をどの大きさで見るかで変わります。

星の位置でも変わる

フルサイズ・約2400万画素・換算 24mm で、星の位置(赤緯)ごとの 1 画素動くまでの時間
星の位置1 画素動くまでの時間
天の赤道(オリオン座の三つ星付近)3.4 秒
赤緯 30 度4.0 秒
赤緯 60 度6.9 秒
赤緯 80 度(天の北極から 10 度)20 秒

天の北極に近い星ほど動きが遅いので、長く露光できます。赤緯 60 度の星では天の赤道の星の 2 倍、赤緯 80 度では約 6 倍の時間になります。北の空を撮るなら、南の空より少し長めにできます。

スマートフォンでは

スマートフォン(1/1.3型・約1200万画素、1 画素 2.4 µm)の換算 24mm では約 4.9 秒 です。画素はフルサイズより小さいものの、焦点距離も短いため、フルサイズと同じくらいの時間になります。

スマートフォンの夜景や星空の撮影モードの中には、短い時間で撮った写真を何枚も重ね合わせて、星を点のまま明るく写すものもあります。この記事の計算は、1 枚の写真をシャッターを開けたまま撮る場合です。

撮るときのヒント

  • 広角のレンズを使う:焦点距離が短いほど、星が動いて見える量は小さくなります。
  • ISO 感度と F 値で明るさを稼ぐ:シャッター時間を短くした分、明るいレンズ(F 値の小さいレンズ)や高い ISO 感度で補います。
  • 見る大きさを考える:SNS で縮小して見せるなら、多少の線は目立ちません。大きく印刷するなら、計算した時間に近づけます。

焦点距離と写る範囲の関係は FOV Studio で計算できます。被写界深度の計算で使う「許容錯乱円」も、写真をどの大きさで見るかを基準にした考え方です。くわしくは「許容錯乱円とは?写真基準と画素ピッチ基準の違い」で説明しています。

出典

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