月を大きく撮るには何 mm のレンズが必要か。焦点距離ごとに計算した

満月がきれいだったのでスマートフォンで撮ってみたら、写真の中では小さな白い点にしかならなかった、という経験はないでしょうか。目で見るとそれなりに大きく感じる月も、写真にすると驚くほど小さく写ります。

月を大きく写すには、どのくらいの焦点距離(望遠)が必要なのでしょうか。月の大きさと距離から計算してみます。

月はどれくらいの大きさに見えるか

NASA の資料によると、月の半径は約 1,737.4 km、地球から月までの平均の距離は約 384,400 km です。ここから、月が空の中で占める角度(見かけの直径)を計算すると、約 0.52 度(約 31 分)になります。

スマートフォンの標準のカメラ(35mm判換算 24mm)の横の画角は約 74 度あるので、月はその 100 分の 1 にも足りません。

焦点距離ごとの月の大きさ

FOV Studio と同じ計算で、35mm判換算の焦点距離ごとに、月の直径が写真の中で何画素になるかを求めました。画角は換算焦点距離でそろえているので、写真の中で月が占める割合はセンサーの大きさによらず同じで、画素数だけが違います。

月の直径が写真の中で何画素になるか(地球から月までの平均の距離で計算)
35mm判換算の焦点距離フルサイズ(3:2)の写真の縦に占める割合フルサイズ・約2400万画素(横 6,000 画素)1/1.3型・約1200万画素(横 4,000 画素)
24mm0.9%36 画素25 画素
50mm1.9%75 画素52 画素
100mm3.8%151 画素104 画素
200mm7.5%301 画素209 画素
400mm15.1%603 画素418 画素
600mm22.6%904 画素627 画素
800mm30.1%1,205 画素836 画素
1200mm45.2%1,808 画素1,254 画素

スマートフォンの標準のカメラ(換算 24mm)では、月の直径は約 25 画素です。写真の横幅の 160 分の 1 ほどで、表面の模様はほとんど分かりません。

5 倍の望遠(換算 120mm)のカメラがあれば約 125 画素になり、暗い模様(海と呼ばれる部分)の形が見え始める大きさになります。カメラで 200mm の望遠レンズを使うと約 301 画素、600mm では約 904 画素で、写真の縦の約 23% を月が占めます。

写真の縦いっぱいに写すには

月を写真の縦いっぱいに写すには、フルサイズで焦点距離 約 2,655 mm が必要です。縦の半分なら約 1,328 mm、4 分の 1 なら約 664 mm です。

天体望遠鏡にカメラをつないで撮る方法が使われるのは、このためです。

デジタルズームでは細かさは増えない

スマートフォンの「10 倍」「30 倍」といったズームの中には、写真の一部を切り出して引き伸ばすデジタルズームが含まれています。切り出しても、月を写している画素の数は増えません。換算 24mm のカメラで撮った月は、デジタルズームで画面いっぱいに広げても、もとの約 25 画素の情報しかありません。

月を細かく写したいときは、デジタルズームより、光学ズーム(望遠カメラやレンズ)の焦点距離を長くすることが大切です。最近のスマートフォンには、画像処理で月の写真を補正する機能を持つものもありますが、この記事の計算は、レンズとセンサーだけで写る大きさです。

スーパームーンはどれだけ大きいか

月の通り道は楕円で、地球との距離は変わります。NASA の資料では、平均の近地点(いちばん近いところ)は約 363,300 km、遠地点(いちばん遠いところ)は約 405,500 km です。

近地点では遠地点より直径が約 12% 大きく見えます。600mm で撮ると、遠地点では約 857 画素、近地点では約 956 画素です。同じ焦点距離で撮り比べれば、写真ではっきり差が分かります。

自分のカメラで計算するには

写真の中で月が占める割合は、「月の見かけの直径(約 0.52 度)÷ カメラの画角」でおおよそ求められます。画角は、FOV Studio にセンサーの大きさと焦点距離を入れると計算できます。たとえば横の画角が 10 度なら、月の直径は写真の横幅の約 5% です。焦点距離と画角の関係は「画角とは?」で説明しています。

出典

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