シダの葉の数字を少し変えると、形はどう変わるか

バーンズリーのシダは、数学者のバーンズリーが示した、4 つの変形(写像)だけで描けるシダの葉の形です。それぞれの写像は、点 (x, y) を

x′ = a x + b y + e、 y′ = c x + d y + f

に移す式で、6 つの数字 a〜f で決まります。この数字を変えると、形はどう変わるのでしょうか。IFS Fractal Studio のシミュレーターと同じプログラムで描き比べました。

主役は 2 番目の写像

4 つの写像のうち、形をいちばん大きく左右するのは 2 番目の写像です。シダ全体を少しだけ縮めて(a = d = 0.85)、上へずらし(f = 1.6)、少しだけ回します(b = 0.04、c = −0.04)。点を打つときも、この写像が 85% の確率で選ばれます。

「全体を少し縮めて上にのせる」ことをくり返すので、シダは下から上へ、少しずつ小さくなる葉を積み重ねた形になります。残りの 3 つの写像は、茎と、左右のいちばん下の葉を作っています。

この記事では、2 番目の写像の数字だけを変えてみました。画像は、見やすいようにそれぞれ同じ大きさに拡大・縮小して並べています。

実験 1:回す向きと強さを変える

b と c は、全体を回す働きをします。

左から、回転なし・もとの値・2 倍に回す・逆向きに回す

実験 1:回転の係数を変えたとき(幅 × 高さは図形の大きさ)
2 番目の写像の係数幅 × 高さボックスカウント次元
b = 0、c = 0(回転なし)5.76 × 10.591.80
b = 0.04、c = −0.04(もとの値)4.84 × 9.921.82
b = 0.08、c = −0.086.30 × 8.781.83
b = −0.04、c = 0.04(逆向き)6.31 × 9.951.79
  • 回転なし(b = c = 0):葉がまっすぐ上に伸び、左右対称に近い、もみの木のような形になります。
  • もとの値:葉先が右へ少し曲がった、見慣れたシダの形です。
  • 2 倍に回す:葉先がくるりと巻き込み、ゼンマイの芽のような形になります。
  • 逆向きに回す:葉先が反対側に曲がります。

ほんの 0.04 の違いで、葉の曲がり方がはっきり変わります。1 回ごとの回転はわずかでも、何十回も重ねていくうちに、先のほうで大きな曲がりになるためです。

実験 2:縮める倍率を変える

a と d は、全体を何倍に縮めて上にのせるかを決めます。

左から、a = d = 0.75・もとの 0.85・0.92

実験 2:縮める倍率を変えたとき
2 番目の写像の係数幅 × 高さボックスカウント次元
a = d = 0.753.05 × 6.191.54
a = d = 0.85(もとの値)4.84 × 9.921.82
a = d = 0.9211.37 × 16.631.93

倍率を 0.75 に下げると、葉と葉の間が空いた、すかすかの形になります。0.92 に上げると、葉が詰まって、黒く塗りつぶされたような形になります。

高さも大きく変わり、0.75 では 6.2、もとの 0.85 では 9.9、0.92 では 16.6 になりました。回転を無視して考えると、「縮めて 1.6 だけ上にずらす」ことをくり返した先端の高さは「1.6 ÷(1 − 倍率)」に近づくので、それぞれ 6.4、10.7、20.0 です。実際は少しずつ回りながら積み重なるため、これより低くなります。

ボックスカウント次元も、0.75 で 1.54、0.85 で 1.82、0.92 で 1.93 と、葉が詰まるほど 2(平面)に近づきました。

自分で数字を変えてみるには

IFS Fractal Studio のシミュレーターでは、プリセットの「バーンズリーのシダ」を開いて、写像の数字を書き換えながら、形が変わる様子をその場で確かめられます。この記事と同じように、2 番目の写像の b・c や a・d を少しずつ変えてみてください。写像の式の意味は「反復関数系(IFS)とアフィン変換の基礎」で説明しています。

出典

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