動画の 1 コマの間に、ものはどれだけ進むか。フレームレート別に計算した

動画をコマ送りすると、動いているものが 1 コマごとに「飛び飛び」に進んでいくのが分かります。1 コマとコマの間に何が起きているかは、動画には写っていません。

では、1 コマの間に、ものはどれくらい進んでいるのでしょうか。コマを数えて時間や速さを測るとき、どれくらい細かく測れるのでしょうか。フレームレート(1 秒間のコマ数、fps)ごとに計算してみました。

1 コマの長さ

1 コマの長さは「1 秒 ÷ フレームレート」です。30 fps なら約 33.3 ミリ秒、60 fps なら約 16.7 ミリ秒、スマートフォンのスローモーションに使われる 240 fps なら約 4.2 ミリ秒です。

動画のコマ送りで測れる時間の細かさは、この 1 コマの長さが限度です。30 fps の動画で「0.01 秒の差」を見分けることはできません。

1 コマの間に進む距離

1 コマの間に進む距離は「速さ × 1 コマの長さ」です。身近なものの速さを例に計算しました(速さは計算のための例です)。

1 コマの間に進む距離(速さは計算のための例)
もの(速さ)24 fps(1 コマ 41.7 ミリ秒)30 fps(1 コマ 33.3 ミリ秒)60 fps(1 コマ 16.7 ミリ秒)120 fps(1 コマ 8.3 ミリ秒)240 fps(1 コマ 4.2 ミリ秒)
歩く人(時速 4 km)4.6 cm3.7 cm1.9 cm0.9 cm0.5 cm
自転車(時速 15 km)17 cm14 cm6.9 cm3.5 cm1.7 cm
一般道の車(時速 60 km)69 cm56 cm28 cm14 cm6.9 cm
野球の速い球(時速 150 km)1.74 m1.39 m69 cm35 cm17 cm
新幹線(時速 300 km)3.47 m2.78 m1.39 m69 cm35 cm

30 fps の動画では、歩いている人は 1 コマに 3.7 cm しか進みませんが、時速 60 km の車は 56 cm、時速 150 km の球は 1.39 m、時速 300 km の新幹線は 2.78 m も進みます。

野球の投手板から本塁までは 18.44 m(60 フィート 6 インチ)です。時速 150 km の球がこの距離を同じ速さで進んだとすると、かかる時間は約 443 ミリ秒で、30 fps の動画では約 13.3 コマにしかなりません。バットに当たる瞬間がちょうど写っているコマがないことが多いのは、このためです。240 fps なら約 106 コマになり、球は 1 コマに 17 cm ずつ進むので、当たる前後の様子をずっと細かく追えます。

コマ数で速さを測ると、どれくらいずれるか

動画で速さを測るときは、決まった区間を通るのに何コマかかったかを数え、「区間の長さ ÷(コマ数 × 1 コマの長さ)」で求めます。たとえば、時速 60 km の車が 10 m の区間を通るのにかかる時間は 0.60 秒で、30 fps の動画なら 18.0 コマです。

ところが、車が区間の始まりや終わりにさしかかる瞬間は、ちょうどコマの上にあるとは限りません。始まりと終わりのコマを選ぶときに、コマ数が 1 つずれることはよくあります。

時速 60 km の車が 10 m の区間を通るのにかかったコマ数から速さを求めるとき、コマ数が 1 つずれたときの値
フレームレート区間を通るコマ数1 コマ多く数えたとき1 コマ少なく数えたとき誤差の目安
24 fps14.4 コマ時速 56.1 km時速 64.5 km約 6.9%
30 fps18.0 コマ時速 56.8 km時速 63.5 km約 5.6%
60 fps36.0 コマ時速 58.4 km時速 61.7 km約 2.8%
120 fps72.0 コマ時速 59.2 km時速 60.8 km約 1.4%
240 fps144.0 コマ時速 59.6 km時速 60.4 km約 0.7%

30 fps では、コマ数が 1 つずれるだけで、速さは時速 56.8〜63.5 km と、約 5.6% 変わります。60 fps なら約 2.8%、240 fps なら約 0.7% です。

誤差を小さくするには、次の方法があります。

  • フレームレートを上げる:コマが細かくなるほど、1 コマのずれの影響は小さくなります。
  • 区間を長くする:区間が 2 倍になればコマ数も 2 倍になり、1 コマのずれの割合は半分になります。
  • 同じ数え方をそろえる:始まりと終わりで「区間の線を越えた最初のコマ」のように、同じ基準でコマを選びます。

スマートフォンの動画で測るときの注意

スマートフォンで撮った動画は、コマの間隔がいつも同じとは限りません。可変フレームレートの動画では、「コマ数 × 1 コマの長さ」で求めた時間がずれることがあります。動画ファイルには、コマごとの表示時刻が記録されているので、コマ数ではなく、表示時刻の差で時間を測るほうが確実です。

Video Inspector Pro は、動画ファイルに記録された全フレームの表示時刻を読み取り、その時刻をたどってコマ送りします。手元のスマートフォンの動画が可変フレームレートだったかは「手元のスマホで撮った動画は可変フレームレートだったか」で調べています。仕組みは「可変フレームレート(VFR)とは?」、実験や研究で使うときの手順は「実験・研究の動画をフレーム単位で計測する方法」で説明しています。

また、ドライブレコーダーの映像を事故の状況の確認などに使う場合は、フレームレートや記録の方式が機種ごとに違うので、この記事の計算は目安と考えてください。

出典

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